「広島県は、コンビニよりお好み焼き屋の方が多い」
そんなの、きっと嘘に決まってる。都市伝説の類か何かだろう。
そう思ってました。移住するまでは...。
でも、実はこれ本当なのです。
実際に広島市内を歩けば、すぐに実感することが出来ます。
それだけ地域に根付き、そして浸透しているのです。
曰く、各々に「行きつけ」があるだとか...
曰く、各々が「Myヘラ」を持ってるだとか...
本当かどうか分かりませんが、今でも驚かされることは多々あります。
そんな私が『お好み焼きデビュー』を果たした時の話です。
所用を済ませて小腹が空いた時に立ち寄ったのは、おばちゃんが1人で切盛りしている小ぢんまりしたお店でした。
中に入ると四角い鉄板が一枚だけあって、その周りをお客さんが肩・肘を寄せあいながら食べてるわけです。
落語の寄席を観に来たのかと錯覚するほど窮屈な気がして(今、思い返せば少し大袈裟ですが...)、隣の人に迷惑かからないかな...なんて考えたりしてると、何だかヘラを握る手も震えてきそうでした。
そんな折、隣に座っていた作業服のオジちゃんに『兄ちゃん、ここ初めてか?ここの(お好み焼き)が広島で1番うめぇんだぞ』と話しかけられました。
すかさず、店のオバちゃんが『何言うとん、日本一じゃけぇ』。
オジちゃんが笑って、オバちゃんも笑って、私も笑って。
ジューっと香ばしい音と皆んなの笑い声が入り混じる、とても居心地の良い空間に、自然と私も馴染んでいました。
ヘラに苦戦しながら食べ終わるとオバちゃんに
『またおいでね。』
うん。また寄るね。顔、覚えておいてね。
そう伝えて帰路に着いたあの日から、もう何年も経ちました。
今やオバちゃんにヘラの使い方を褒められるまでに成長した私は、もう立派な広島県民です。