子供たちの事も考えました。東京・横浜で生まれ育ったう3人の子供たち。
都会は便利だしいい事も沢山あります。
きっと大人になれば都会に出るだろう、だとしたら子供のうちに地方の豊かさや良さを感じ
両方のいい所悪い所を知っていた方が、幅広い価値観を持つ人間になれるんじゃないかと考えました。
子供たちに向けて父親から"価値観の幅のプレゼント"と考えたわけです。
移住した直後は子供たちから文句も言われました。
家族5人で妻の実家のある広島県竹原市に移住したのが2017年。
ですので、妻はUターン、自分にはIターンとなります。
生まれ育ちは静岡県。東京や横浜の飲食店で勤めていました。
40歳になる前に自分の本当にやりたかったものに本気で挑戦しようと考え退職。
ずっと目標としてきた「独立して自分の店を持つ」事に挑戦しようと。
1週間ほど妻の実家に一人滞在させてもらい
じっくりと竹原を巡ってみました。
凛とした佇まいの古い街並みや穏やかな瀬戸内海が広がり、何と美しい街なんだと感じました。
妻のお母さんも気合いが入っていたんだと思いますが、毎晩食卓にはこの地ならではのご馳走を並びました。
地元で獲れる魚介類、タイやアコウのお刺身は新鮮で身が引き締まっていて
地元で育てられた柔らかくジューシーな牛肉に頬はとろけ
そして竹原の日本酒をしこたまご馳走になりました。
魚も肉も野菜も何と旨いものが沢山この地にはあるのかと感動したのを今でも鮮明に覚えています。
竹原に滞在中、地域の面白い人達の飲み会があるらしいから行ってみたらという事で
ドキドキしながらもお邪魔させて頂きました。
そこには、葬祭屋や酒屋、美容師やバラ農家の奥様、市役所の方も商工会議所の方などなど
他業種の方々が集まり、料理やお酒を持ち寄って盛り上がっていました。
そこでふと気付いたんです。
大盛り上がりしている会話の大半は、この街でみんなでこんな事したいねとかこんな所がもったいないよねなんて話でした。
人・歴史・食・風景、そのすべてがダイヤの原石のようだと。
この地に根付き、開業する。
そして自分もこの街を元気で輝かせる為の一つの歯車となる。
こんなにやりがいがあってワクワクする事はないな!あぁこの土地で開業したい!
ふわっとした自分自身の将来に一筋の光がさして、自分の向かうべき方向がハッキリとした瞬間でした。
その宴席で同席した商工会議所の方にお願いをして、翌日には竹原の空き店舗を巡りました。
いい立地・いい規模の元居酒屋の居抜き物件が運良く見つかり、即決。
一度横浜に戻って竹原に移住しようと家族を口説き、竹原市からの補助金も通り無事イタリア料理店を開業。
現在8年目、沢山の方に支えて頂きながら今なお夫婦で営業させてもらっています。
生産者の所に直接赴き一緒に作業をさせてもらいながら苦労やこだわりを聞き、この地の食材が主役の料理を毎日作る。そしてお客様に喜んで頂く。
そんなこの上なく幸せな料理人としての人生を歩んでいます。
子供たちの事も考えました。東京・横浜で生まれ育ったう3人の子供たち。
都会は便利だしいい事も沢山あります。
きっと大人になれば都会に出るだろう、だとしたら子供のうちに地方の豊かさや良さを感じ
両方のいい所悪い所を知っていた方が、幅広い価値観を持つ人間になれるんじゃないかと考えました。
子供たちに向けて父親から"価値観の幅のプレゼント"と考えたわけです。
移住した直後は子供たちから文句も言われました。
何故歩いていけるコンビニすらないこんな所に引っ越したんだと 笑
全校生徒が1000人近くもいる学校から、僅か80人程しかいない学校への転校。
1クラスに10人弱、そんな環境の変化に最初は戸惑いつつも
今ではしっかり広島弁を話し、完全に馴染んでいてとても楽しそうです。
今では高校生となった長男は、竹原からほど近い大崎上島に自転車とフェリーで毎日通学しています。
瀬戸内ならではの通学は、大人になってきっといい思い出になることでしょう。
休日には家族で、SUPしたり、釣りしたり、川遊びしたり、蛍を見に行ったり、農作業したりと
都会では中々できない遊びを、自然の中で楽しんでいます。
私たち夫婦の趣味はサイクリングです。
当初は通勤の足として購入したロードバイクでしたが、友人としまなみ海道をサイクリングしたのを機にその楽しさを知り、その後は一緒に妻も走るようになりました。
瀬戸内の島々を橋とフェリーで縦横無尽に風を切って走る。こんなに楽しく走れる環境はないと思っています。しかも自転車で行けば景色は10倍綺麗に、食事は10倍美味しく感じます。
そして自転車を通じて沢山の友人もできましたし、何より共通の趣味で夫婦仲がよくなった気がします。
人口は23,000人程の小さな街です。
その昔、塩田と酒造業で栄えた歴史ある街で、山に囲まれ瀬戸内海に面しています。
広島空港からも程近く、港からは島へフェリーがあり、電車も通っていて交通の便はいいです。
生活するのに不便はなく、それでいて身近に豊かな自然が広がっている。
田舎暮らしと街での暮らしのいいとこ取りのような街で、とても移住しやすい環境です。
瀬戸内のおいしいものや前向きでおもしろい人たち、凛とした街並みと出合い、「自分もこの街を輝かせる一員になりたい」と、移住と料理店開業を決めた時のワクワク感が伝わってくる文章でした。子育て世代にとっては関心が高い子どもたちの通学事情や、自然がすぐそばにある暮らしぶりにも触れられていて、心身ともに健康的な暮らしぶりが目に浮かびます。地元食材を主役にした料理を食べに、竹原市のお店に行きたくなりました。