新宿から江田島を選んだわけ
はじまりは2年前
初めて広島に行ったのは2年前、2022年の5月でした。当時海上自衛官であった私は広島県の江田島市にある海上自衛隊第一術科学校に入校するため、半年間江田島市で生活することとなりました。
第一術科学校とは海上自衛官としての技能を身に着けるため、3カ月から半年間勉強するための学校です。神奈川県横浜育ちの私は海上自衛隊に入隊後、神奈川県横須賀市に勤務していたため広島県はおろか県外での生活経験もありませんでした。
不安と期待を胸に江田島市での生活が始まるのですが、そんな期待とは裏腹に上司からは江田島についてこのように聞いていました。
「江田島には何もないよ。」
バスは1時間に1本。第一術科学校からスーパーマーケットやドラッグストアまでは徒歩1時間。カラオケやボーリングなどのレジャー施設もないから、休日は広島市内や呉へ出かけるのが当たり前。
そんな話を聞いていたので江田島に上陸してからの数か月間の週末は呉や広島市内に出かける日々。江田島で休暇を過ごそう、そんな考えに至ることは一切ありませんでした。
江田島を知らないだけだった
しかし時代はコロナ禍真っ只中。残念ながら第一術科学校内でも感染が拡大し、江田島市から外出しないようにと至達されます。
ここではじめて江田島に何があるのか興味を持ち始めます。江田島には何があるのだろう。調べだしてはじめて自分の無知さ加減と愚かさを目の当たりにしました。
瀬戸内海を望むカフェの数々、世界一を受賞したオリーブオイルが楽しめるイタリアン、サップなどのアクティビティやオーシャンビューの大浴場。私はすぐに友人を誘い江田島を巡ることを決めました。
しかし、バスやタクシーで行くことは現実的ではなく、徒歩で行くなんてもってのほか。移動手段で悩んでいたとき、江田島市観光協会のレンタサイクルを見つけサイクリングをすることになりました。
江田島ってすごいぞ・・・
9月中旬、まだ残暑が厳しい中でのサイクリングとなりました。電動アシスト自転車を借りることとなり、坂道などは気にせず島を一周することとなりました。
まず江田島の気候の魅力にびっくり。じっとしていると汗も滴るほどの暑さにも関わらず、自転車で走り出すと海風がなんと心地よいことか。普段バスから見ていた景色もサイクリングをすることで全く違った景色に見え、走り出しから興奮冷めやらない気持ちでした。
ランチは「オリーブファクトリー」さんでイタリアンをいただくことに。
音戸を望むテラス席で世界一を獲得したオリーブオイルがかけ放題をいうなんとも贅沢な時間を過ごすことができました。
その後は「uminos(ウミノス)」さんを目指し、サイクリングすることに。急な坂道でも電動アシストがあることで疲弊することなく目的地まで向かうことができました。
半日のサイクリングを終え、最後は地元のお好み焼きを堪能。まさか普段毎日生活している江田島がここまで魅力のあふれた島であるとは全く想像もできませんでした。
でも誰も魅力に気づいていない
しかし残念なことに周りの隊員は江田島の魅力を知らないまま、第一術科学校を修業し江田島を去っていくのが現状でした。週末は高い交通費を払い街にでかけ、飲み屋や夜の店へ繰り出す同じような日々を過ごす。せっかく江田島に来たのに、江田島を全く知らないままでいるこの現状に非常にもどかしい思いを抱きました。
「もっと第一術科学校入校中の海上自衛官に江田島の魅力を知ってもらいたい。」
そんな思いをいただいたまま、2022年10月、防衛省のある市ヶ谷基地での勤務を命ぜられ、新宿区民をなることとなりました。
やっぱり忘れられない江田島の魅力
2022年10月より新宿区民となり、それまでの生活は一変しました。
新宿駅から徒歩圏内でいけること、生活に困ることは一切なく公共交通機関が非常に発達しており、いつ何時も思うように行動できる。何不自由ない生活でした。それなのに気持ちは満たされないまま。空を見ることもない。人と話すこともない。東京は何でもあるはずなのに何も感じられない街でした。
そんななか、今後の人生を考えたときに海上自衛官として任務にあたることも非常に誇らしく素晴らしいことではあるけれども、自分にしかできないことがあるのではないか。
そう考えていた時、江田島での起業が頭をよぎりました。
江田島のあの魅力をもっと多くの隊員に知ってもらいたい。江田島を広島を代表する観光地にしたい。
驚くほどの江田島の進化
2024年6月海上自衛官を退職、7月には江田島市に移住しました。2年ぶりに江田島に帰るとその変貌ぶりに非常に驚きました。新たに素敵なカフェやレストランが何軒もでき、グランピングまでできていたのです。自分が知っていた江田島よりもさらにパワーアップした江田島に心躍りました。
「これはいける。」
それからは怒涛の毎日でした。チラシやホームページの作成、店舗のDIYで汗を流す日々。一人で移住し、地元に身寄りもないため頼れる人もいない。そんななかでも島の人はあたたかく、声をかけてくださったり、野菜や果物のおすそ分けをもらったり。一人で移住したものの孤独を感じることはありませんでした。
そして2024年10月、江田島市にレンタサイクル店「it’s mo! レンタル 江田島店」をオープンしました。
江田島が秘める大きな可能性
実は江田島って観光地や移住先としての魅力や可能性が非常にあるのです。その点を以下の3点にまとめました。
1. 交通アクセスの良さ
江田島市には小用港、切串港、中町港、高田港、三高港の5つの港があり、広島市内へのアクセスが非常に良い。広島駅から約1時間で行けるため、新幹線へのアクセスも非常に良い。また早瀬大橋から陸路で移動することができるため公共交通機関のほか車での移動もできる。
2. 生活圏の充実
島内にはコンビニやスーパーマーケットのほか、ホームセンターや100円ショップ、ドラッグストア、家電量販店などの生活に欠かせない店舗が充実しており、島外へ行かなくても十分に生活することができる。また新しいカフェやレストランも非常に充実しており、都心などの観光客や移住者でも満足できる飲食店が多い。
3. 瀬戸内海が生み出す絶景
江田島は非常に個性的な地形をしており、島と島が折り重なったような景色を楽しめることができる。私のような関東出身の人間からするとうっとりするような景色が毎日見ることができる。特に夕焼けは息をのむほど美しく、毎日見てもため息が出るほど。
江田島に移住してみて
江田島に移住して4カ月が経過しました。
確かに都内に比べて不自由なところはあります。大型の商業施設や繁華街もありません。夜9時以降は物音ひとつたちません。
でもそれで十分なんです。
繫華街がなくても、遊べなくても、飲めなくても全然楽しく過ごせるのだと思いました。出会いも都心に比べたら全くありません。でも、その分ひとつひとつの出会いを大切にすることができます。
都心にはいっぱい心を満たしてくれるものがあります。でもそのすべてが生きるために必要なのかと問われると疑問を感じます。多少の不便さがあるからこそ、人のありがたみに触れたり雄大な自然に癒されたりして感謝の気持ちをもって生活できるのではないかと思います。
移住に不安を持たれている方もいると思いますが、こういった地方では困っている人がいれば手を差し伸べてくれる非常にあたたかい場所です。本当の自分に出会えるとても良い機会だと思います。
この文章を読んでくださったあなたが素敵な広島ライフを過ごせることを願っております。