HIROBIRO.ひろしま移住ストーリー2021 〜先輩移住者からのメッセージ募集〜 HIROBIRO.ひろしま移住ストーリー2021 〜先輩移住者からのメッセージ募集〜

内気な自分の移住のはなし

特別賞
ころころさん
パート・アルバイト
東京都から移住
40代前半

東京から家族で安芸郡坂町へ引っ越してきた。
友人や親戚、不動産屋さんからも「広島県にご家族がいらっしゃるんですか?」と聞かれたけれど、わたし自身なんの縁もなく、夫が広島のお好み焼きが好きで、その上 大の釣好きであるのが理由でここまでやってきた。

もともと関東の片田舎生まれの自分が、不便さを嫌って東京に十数年と住んできたのに、夫は「目の前が海でいつでも釣りにいける場所に住む」といって嬉しそうに移住への期待を寄せているのを見てしまうと、便利な都会暮らしとはそろそろ離れるかという決意をするほかなかった。
いろいろ物件探しの段階では広島でも東京とそう変わらない便利な都心部での暮らしがいくらでもできるだろうに、やっぱり夫の選ぶ物件は軒並み広島市の中心部から離れた海沿いの土地を選んでいた。せっかく引っ越すのだしここはひとつ私も「食洗機のついたキレイなおうちに住みたい」と欲を伝えて私たちはうまいこと折り合いをつけた。

移住前のイメージはザ・田舎暮らしへの偏見だらけ

移住をされる方の中には、かつてのわたしのように移住への不安がある人もいるのではないでしょうか。

特に人見知りの自分には「田舎のおばあちゃんは世話好きな人が多いからいきなり家に来て世話してくれるよ」と、いってみんなが教えてくれるほど、内心わたしは移住への不安が高まっていた。

でも、坂町へ来てみたらなんてことはない。
近所の方は気さくな良い方で、スーパーの店員さんですら気さくで優しい。
ファミリー世帯が多い地域だけれどご近所付き合いは、ほとんど無いくらい。
自分のタイミングで挨拶をしてわからないときは自分で質問をしていくうちに、相手の方もきちんと答えてくれた。

内気な自分が飛び込んでいっても十分やっていける選択肢も広島にはあるのだということがここに来て本当に安心したことだった。

また自分が暮らしているエリアは電動自転車を持っていったけれど、たまに乗る程度でほとんどが、どこの用事を済ますにも徒歩圏内。

息子を抱っこしながら、スーパーに行って、欲しい物をたんまりベビーカーに乗せて帰ってくるという悠々自適な生活。

まさに東京より便利な生活を送っている。

移住後の子育ての変化

我が家にはもうすぐ2歳をむかえるやんちゃな息子がひとりいる。
東京での子育ては、児童館や公園、図書館に通って絵本を借りて、家にいるときはYouTubeばかり見ていた。

あの頃住んでいたマンションは部屋もベランダも狭くて、近所では工事ばかりだったのでホコリが入らないように窓を締め切ってクーラーをつけた生活していた。

息子が生まれてからというものずっと自粛生活を余儀なくされていたし、毎朝「チーチュー(YouTube)」と指差して、小さな指でホイホイと画面を切り替えたりしている様を見て、しょうがない思いを感じつつも、こんな成長を繰り返していていいのかという心配が無いわけではなかった。

子育ての不安は、きっかけがなければ変えることも難しい。

坂町のいいところは、子育て支援センターも図書館も近くにあるので、東京で自分がしてきた「息子のための子育て」のスタイルを変えずに済むことがよかった。

もちろんうれしい変化も山ほどあった。

息子がYouTubeにかじりつくことが無くなったのだ。興味の湧くことがたくさん増えたのだ。

家の中は広くなって、家の中を行ったり来たり探検している。
開けっ放しの大きな窓から入る風を感じてたり、広いベランダで、シャボン玉を追いかけて遊んでいる。新生児で使っていたバスタブに水を溜めて秋だというのに未だに水浴びを楽しんでいる。

公園にも行ったり、夫の釣りにもついて行ったりして楽しんでいる。

1歳児の息子はなんだかここにきて忙しくなったみたいだ。
日中は目を輝かせてよく笑って、そうして夜は外の風を感じながら虫の声を聞いてぐっすり休んでいる。

変わったのは息子だけじゃない。この海と山とを一度に見渡せる美しい景色に心が洗われた母ちゃんと、遠くを眺めているうちに一日が終わる。

まとめ

今思えば、東京での暮らしの便利さってなんだったんだろう。
ここの坂町に住み始めて1日目からもう本当はこんな気持ちに変わっていた。
電車がたくさん走っていてアクセスの良さを感じていたから、坂町でもできるだけ駅までの徒歩圏内を選んだけれど、普段の生活で駅に行くことはあまり無くなった。

広島市内へのアクセスよりも、広島県内のあちこちの観光のほうが興味がわいている。

今は自粛生活だったので家の充実面が主立っているけれど、2LDK22万円の家をはらって4LDK11万円の広い家に住めるようになったし、夫も趣味の充実だけでなく、快適な仕事部屋もできて、わたしも趣味の部屋をひとつゲットして、息子の探検場所として活用されている。
家からは海も山も街の景色も見渡せる。

もうすでに家だけで順風満帆。

近隣の街はホームセンターやスーパー、ドラッグストア、ファミレスなんでも一通りのものが駅周辺に揃っていて、いわば「生活するには困らないところ」。
毎日の暮らしは本当に、十分だ。
コンビニは無いけれど、198円の弁当が24時間買えるスーパーも近所にある。

夕陽に照らされた海を眺めることも、朝の澄んだ山の緑もここにある。そして、それを眺めて喜ぶ家族との時間がある。ああ、ここに来てよかった。そんな毎日だ。

デメリットはまだ見えていないけれど、得られたことが何よりも大きいし大事だと思える。
今はこういうささやかな時間がとても貴重で代えがたいものだと思うし、

いまなら移住を考えてる方は、まずは飛び込んでみることが大事なんだろうなと思うのだ。

受賞作品