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INTERVIEW

モノ作り、地元地域の魅力発信、空き家対策などに尽力しながら府中市の活性化に繋げていきたい。

宮脇 亮平さん

大阪府 → 広島県
2014年
1983年生まれ 独身 一級建築士 みやわき建設 勤務 つぎのて制作所 代表

Uターンし、家業の建設会社に勤めながら地元地域を盛り上げる活動に取り組む。設計士の目線で気付いたのは、モノ作りの技術や、昔からある魅力的な建物、豊かな自然、歴史そして地元を愛する人たちの行動力。ふるさとの古い建物に新しい命を吹き込む「つぎのて制作所」はその一環。府中市の未来への架け橋になりそうだ。

府中市に戻られた経緯を教えてください。

僕は地元の高校を卒業後、関西の大学で建築を学び、大学卒業後は京都の設計事務所に就職しました。6年間勤務し、住宅の設計・監理に携わり、一級建築士を取得して2012年に退職しました。その後、コミュニティデザインを実践しているstudio-L山崎亮さんの著書を読み、すごく共感しstudio-Lに合流することになりました。studio-Lでは、長崎県や京都府、それに地元である広島県でも地域活性化のお手伝いをさせていただきました。

コミュニティデザインとは、地域が抱える課題を外部の人(コンサルタントやデザイナー)が解決策を提示して指導するというのではなく、その地域の方自らが課題を解決できるように手助けをすることです。そんなコミュニティデザインの現場では、地域の方自らが、自分達のまちの課題や魅力をみつけ、自分達が出来る中で、どうやって課題を解決し、まちの魅力を活用し、他の人も巻き込んでいけるかなどを話し合っていました。そんな話し合いや、話し合った取り組みをまち中で実践したりと、自分が住んでいるまちをおもいっきり使って楽しんでいるのがとても羨ましいなあ、自分も地元でやりたいなあと思ったのが、地元に戻ってくるきっかけの一つです。
もちろん、家業である建設会社を盛り上げないといけない!というのもありましたが。

建築設計と地域活性化の接点はありますか?

建築の設計士として大切にしていることの一つは、お施主さんにとって「落ち着ける」空間を作るということです。建物を設計するにあたり、「落ち着く」というキーワードを考えると、それは「把握できること」がベースにあるのではないかと思います。空間の中に自分の把握できないものがあると落ち着かないじゃないですか。世界で一番落ち着く空間は、自分の部屋や家だと思うんです。家も自分の手で作れば把握でき、愛着が持てるんじゃないかなと。だから僕の家作りも、お施主さんが希望されるなら床張りや壁塗りに参加したりするなど、お施主さんと一緒にできる家づくりも提案できたらいいなと思っています。そういう家が落ち着けるのではないでしょうか。

それは地域にも言えることで、家の縮尺を大きくして町にあてはめてみると、何も知らない町よりも、何がどこにあるか把握しているまち、地元の方が落ち着くと思います。あそこは怖い犬がいる、あの川沿いはとても気持ち良い、困ったらあのおっちゃんに相談しに行こう、など。
そこに住む住民自らが、まちの維持管理や活性化に関与する事で、落ち着く場所となり、愛着が持てるのではないかと思います。

府中市の魅力を教えてください。

府中市は昔からモノ作りが盛んな町です。家具・木製品・金属・機械器具など、「モノづくり」産業が集積したまちで、創業100年を超える百年企業が60社もあるんです。時代に合わせながら、新しいことにチャレンジし続けてきたことが、今まで続けられている要因の一つだと思い、そんな気質があるまちなので、何か新しいことを始めようとする人、チャレンジする人には寛容な雰囲気があるかなと。今は、府中市に大学をつくろうと取り組んでいる方もいて、若い世代が提案した大きな目標を、先輩方があたたかく応援してくれるなあというのは、府中に戻ってからの3年間で魅力的に感じたことの一つです。

「モノづくり」産業は、市内を流れる芦田川や周辺の山々と寄り添い合いながら発展してきたこともあり、自然と近いことも魅力的だなと思いました。昼食を川辺で食べたり、平日にふらっとキャンプをしに行ったり、休日には瀬戸内海の島に出かけたり、など。生活の中で自然が近いことは、子どもの頃は何とも思ってませんでしたが、大人になって戻って来た時に魅力的だなと思いました。
あとは、昔からある魅力的な建物が多く残っているというのも好きですね。府中市は戦争の空襲を受けなかったこともあり、昔からある建物が多く残っています。建築畑の人間ということもありますが、まち中にある、そういう建物を見ると、「この建具の意匠が好き!」「どうしてこんな形なんだろう?」とか、まち中を歩くだけで楽しい気持ちになりますね。そういう建物を今後も有効利用していきたいと思ってます。

今、取り組んでいる活動を教えてください。

家業である建設業と併行して、まち中の空き家や空き店舗、空き地などの遊休不動産を有効利用するための活動をおこなっていて、「つぎのて製作所」という任意団体を立ち上げ、取り組んでいます。その中の活動の一つに「頼宗邸プロジェクト」というのがあり、地元のおっちゃん達と一緒に古民家の利活用を検討していってます。
頼宗邸は、府中市の本山町にある江戸末期頃に建てられた古民家で、府中市で初めてテレビが設置された家でもあり、大相撲やプロレスを見に来る近所の方々の憩の場でもあった本山町の象徴的な建物なんです。

この頼宗邸を「これからもずっと残していきたい!」と、地元のおっちゃん達が立ちあがりプロジェクトが始まりました。広島県や府中市と連携しながら利活用の検討を進めてきて、現在は、実際に頼宗邸でお店や仕事場として利用していただける方を募集してます。
パン屋、蕎麦屋、雑貨屋、カフェ、ギャラリー、工房、サテライトオフィス、などなど、どんな業態のものでも、この場所でこれをやってみたいというものがあれば是非お問合わせいただけると嬉しいです。
詳細やお問合わせについては、つぎのて製作所のホームページに掲載しているので、是非ご覧ください。

移住を考えている人にアドバイスを!

僕は、地元地域に戻ってきたUターン者で、様々な基盤がある場所に戻ってきただけなので、まったく生活の基盤が無い場所に移住するIターンの方にアドバイスというのはあまりできませんが。でも、なんとなく思ってることは、移住をした場所、される予定の場所で、まちを使って面白そうな、ワクワクするような活動をされてるところに、飛び込んでみるのもいいのかなと思います。そこで活動されてる方は、まちの魅力についてたくさん知ってると思いますし、魅力だけではなく、まちが抱える課題についても向き合っていると思いますので、生活をしていく上で、多くの学びが得られるんじゃないかなと。

また、まちの情報だけではなく、まちを使って活動されてる方は、様々な人とのつながりがあると思うので、いろんな人と知り合って見識も広まると思います。そこでの活動に関わって、いろんな人から話しを聞いて、まちについてぼんやりとした輪郭が分かってきてから、自分がやるべき事、やりたい事をじっくり考え、実践していくのがいいのかなと思ってます。

平日

7:00 起床
8:00 設計・監理の仕事や改修工事作業
12:00 お気に入りのお好み焼き屋(府中焼き)
18:00 業務終了
18:30 近くの銭湯か温泉で汗を流す
近所の居酒屋で友人と呑むか、オフィスで音楽呑み会
24:00 帰宅、就寝

休日

7:00 起床
8:00 車で20分ほどの羽高湖にキャンプへ
きれいで静かな景色の中のんびり
そのままキャンプ場で過ごす
宮脇 亮平さん

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